営業のPDCAサイクルとは?具体例とよくある間違い、改善の進め方を解説

営業のPDCAを回すと、外れた仮説が次の提案に反映されます。

もっとも、やり方を知っていても回らないことがあります。背景の一つに、上司やマネージャーの時間が以前より取りにくくなっている状況があります。

この記事では、新規開拓での具体例と、PDCAが止まる構造的な理由を解説しています。

営業のPDCAとは、営業活動の結果を振り返り、次の行動を改善するサイクル

営業のPDCAとは、立てた仮説にもとづいて営業活動を行い、結果を振り返って次の行動を改善する一連のサイクルです。商談だけでなく、架電やアポイントの獲得、提案、受注率の改善も対象に含みます。

営業のPDCAは、計画・実行・評価・改善の4つの段階で回します。各段階で営業が行うことは下記のとおりです。

段階 営業がやること 判断に使うもの
Plan(計画) 営業目標とKPIを設定し、対象顧客や提案内容の仮説を立てる 過去の営業実績、顧客情報、商談記録
Do(実行) 計画にもとづいて架電・商談・提案を行い、顧客の反応を記録する 行動計画、事前に立てた仮説
Check(評価) KPIの目標と実績を比較し、差が生じた原因や仮説とのずれを確認する KPIの実績、商談記録、失注理由
Action(改善) 振り返りの結果をもとに、対象顧客や提案内容、次の行動計画を見直す KPIの達成状況、仮説と実際のずれ、改善すべき課題

営業のPDCAでは、顧客側の検討状況によって結果が出るまでに時間差が生じる点に注意が必要です。提案への回答が、社内の検討を経て数週間後に返ってくることもあります。

そのため、立てた仮説、実際の反応、断られた理由の3点を残しておくと、次の商談で使えます。

関連記事:営業ヒアリングとは|顧客課題を特定する仮説検証の工程、成果は型で決まる

営業のPDCAの具体例|新規開拓での回し方

新規開拓で「アポイントは取れるが受注につながらない」という場面を例に、PDCAサイクルを回してみましょう。

Plan(計画)では、まず過去の商談記録や失注理由を確認します。そのうえで、例えば「初回商談で顧客の課題の優先度や導入時期を十分に把握できず、提案が検討状況に合っていないのではないか」という仮説を立てます。

次の商談では、顧客が優先している課題や導入時期、決裁の進め方を確認する計画を立てましょう。

Do(実行)では、仮説をもとにファクトファインディング(ヒアリング)を行います。

「現在、優先して解決したい課題は何ですか」「なぜその課題を優先しているのですか」といった質問から、顧客の回答の背景まで掘り下げます。

仮説が正しいかを確認するだけでなく、顧客の現状と理想のギャップを把握することが大切です。

Check(評価)では、商談の結果と当初の仮説を比較します。

例えば、顧客は提案したサービスの必要性を感じているものの、別の課題への対応を優先しており、導入時期が合わないことが分かったとします。

この場合、顧客の課題の優先度や導入時期を把握できていなかったことが、受注につながらない一因である可能性が見えてきます。

Action(改善)では、検証結果をもとに次の営業活動を見直します。

例えば、初回商談で課題の優先度と導入時期を確認することを共通のルールにし、顧客と課題の認識をそろえたうえで提案するようにします。

導入時期が先の場合は継続的なフォローに切り替えるなど、顧客の検討状況に応じた対応を決めましょう。

こうした仮説と実際のずれを記録に残して蓄積すると、次の商談設計の材料になります。

営業のPDCAでよくある間違い

営業のPDCAが成果につながらない原因の一つに、CheckとActionが十分に機能していないことがあります。代表的な間違いは下記の2つです。

  • Checkが感想で終わる
  • Actionが個人の反省で止まる

Checkが感想で終わると、次に何を変えるかが決まりません。「うまくいかなかった」「相手の反応が良くなかった」という振り返りでは、どの質問が外れていたのかが残らないためです。

解消するには、仮説と実際のずれを場面単位で書き出す必要があります。どの質問に対して相手が答えなかったか、どの説明の後に検討が止まったかまで特定しましょう。

Actionが個人の反省で止まると、失注から得た教訓が組織に共有されず、別の担当者も同じ失敗を繰り返すおそれがあります。

解消するには、次に試すことを対象顧客の条件つきで決めて共有しましょう。「従業員100名規模の製造業では、初回訪問で予算の時期を確認する」という粒度まで落とすと、他のメンバーも使えます。

この2つは、解消法が分かっていても実行されないことがあります。その理由は、担当者のやり方とは別のところにあるためです。

営業のPDCAを一人で完結させるのは難しい|支えるマネージャーに時間がない

営業のPDCAは、担当者が一人で完結させにくいものです。自分の商談を自分で振り返ると、うまくいかなかった理由が自分の見えている範囲に収まるためです。何を見落としたかは、見落とした本人には分かりません。だからこそ、上司やマネージャーが一緒に振り返る工程が要ります。

かつての現場では、その工程は成立していました。始業前や終業後の時間に、上司や先輩が若手のロープレに付き合い、その日の商談を一緒に振り返っていたのです。

しかし、働き方改革関連法により時間外労働の上限規制が設けられ、大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から適用されています。もちろん、法令が定めたのは時間外労働の上限で、時間外労働そのものを禁じたわけではありません。

どちらが正しいかどうかを言及したいわけではありません。事実、これまでのように時間外で対応するのは難しくなってきている、ということです。

一方で、マネージャーの役割は減っていません。従業員300人以上の上場企業で部下が1人以上いる課長級809人を対象とした産業能率大学総合研究所の第7回 上場企業の課長に関する実態調査では、コロナ禍前の2019年と比べた職場の状況をたずねています。「業務量が増えている」に「あてはまる」「ややあてはまる」と答えた課長級の管理職は38.3%でした。営業職に限った調査ではありませんが、業務量の増加を感じている管理職が一定数いることが分かります。

なかにはプレイングマネージャーとして自分の数字を持ちながら、メンバーの管理や報告、採用まで担うケースもあります。限られた時間のなかで、営業活動と部下の育成を両立することが求められています。

関連記事:営業の仕組み化は何から始める?少人数でも実践できる改善策7選

参考記事:厚生労働省|時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

参考記事:学校法人産業能率大学 総合研究所|上場企業の課長に関する実態調査(第7回)

商談データをもとに振り返りの精度を高める

営業のPDCAを回すには、商談内容を振り返り、改善点を次の行動につなげる必要があります。しかし、マネージャーは自身の営業活動やチーム管理も担っているため、すべての商談を確認し、担当者一人ひとりにフィードバックする時間を確保できるとは限りません。

そこで有効なのが、商談の録音データを活用し、振り返りの一部を外部の専門家に任せる方法です。実際のやり取りを記録しておけば、商談に同席していない人でも、顧客の反応や提案内容を確認し、改善点を見つけやすくなります。

当社が提供する営業マネジメント代行・伴走サービスMiimosは、商談データの分析から営業担当者へのフィードバックまでを支援するサービスです。

具体的には、共有いただいた商談の録音データを当社独自のセールスAI基盤で解析し、レビューを作成します。その結果をもとに、週1回・1時間の1on1を実施します。

1on1では、商談でうまくいかなかった原因を振り返り、次回の商談に向けた仮説や準備物、想定問答まで具体化します。週次でこうした振り返りと改善策の検討を行い、受注・失注などの結果は案件の進捗に応じて継続的に確認します。

また、商談内容の分析や共通の基準による評価も当社が担当し、マネージャーには月次でレポートを提出します。これにより、マネージャーがすべての商談を個別に確認しなくても、各担当者の課題や改善状況を把握できるようになります。

営業のPDCAを実際の行動改善につなげるならインプレックスアンドカンパニー

営業のPDCAを成果につなげるには、まず改善すべき課題と目標を明確にし、営業活動の計画を立てることが大切です。

実行後は、KPIの達成状況だけでなく、商談で立てた仮説と実際の顧客の反応を振り返り、改善点を具体化しましょう。振り返りを担当者個人の反省で終わらせず、次の営業活動に反映することが重要です。

ただし、営業担当者だけでは自分の課題に気づきにくく、マネージャーも日々の業務で十分なフィードバックの時間を確保できない場合があります。

当社が提供するMiimosは、商談データの分析と営業担当者へのコーチングを通じて、営業活動の継続的な改善を支援するサービスです。

商談の録音データをもとに改善点を明らかにし、週次の1on1で次回の具体的な行動計画まで落とし込みます。マネージャーには月次でレポートを共有するため、営業担当者の課題や改善状況を把握できます。

営業のPDCAを仕組みとして定着させたいとお考えの方は、ぜひご相談ください。

Miimosのサービス詳細はこちら

営業のPDCAに関するよくある質問

営業のPDCAはどのくらいの周期で回しますか

商材の検討期間によって変わります。商談ごとに振り返る単位と、週次・月次で改善状況を確認する単位を分けて考えましょう。検討期間が長い商材では、商談単位のCheckを先に回します。

新人にも営業のPDCAを回させるべきですか

回させたほうがよいでしょう。ただし新人には仮説を立てる材料がないため、最初はマネージャーが仮説を一緒に作ります。Planを任せきりにすると、振り返る対象が決まりません。

営業のPDCAとKPI管理は何が違いますか

KPIは達成度を測る指標で、PDCAは次の行動を決めるサイクルです。KPIで数値の変化を把握し、その原因をPDCAで特定します。指標の設計方法は下記の記事で解説しています。

関連記事:インサイドセールスのKPIとは?種類・設定方法・計算式と改善のポイント

マネージャーに振り返りの時間が取れない場合はどうすればよいですか

全員・全商談を同じ密度で見ることは、いったんあきらめましょう。新人の初回商談、失注が続いている案件など、見る対象を決めるところから始めます。