飲食店の営業リストの作り方|狙う店舗の選び方と必要項目を解説

飲食店の営業リストは、件数を集めることよりも、自社商材と相性のよい店舗を見極めることが重要です。公開情報から候補を集め、商材との適合度や販促意欲で優先順位をつけ、営業結果を反映しながら更新すると、限られた営業工数を成果の見込める店舗へ集中できます。本記事では、営業リストの作り方、入れておきたい項目、商談につなげる接触方法を解説します。

飲食店向けの営業リストとは

飲食店向けの営業リストとは、営業先となる店舗情報に加え、優先順位やアプローチ方針まで整理した一覧です。単なる店舗名簿とは目的が異なります。

店舗名簿は、できるだけ多くの店舗を集めることが目的です。一方、営業リストは、自社商材が役立つ店舗を選び、成果が見込める順にアプローチするために作成します。

成果を出しやすい営業リストには、次の3つの要素が必要です。

  • 狙う店舗の条件
  • アプローチの優先順位
  • 接触方法と提案方針

この3つを明確にすれば、担当者の勘に頼らず、組織として同じ基準で営業できます。営業リストは、誰に、何を、どの順番で提案するかを具体化した営業戦略といえます。

関連記事:新規開拓営業の方法とは|3種類の手法と成果を出す進め方5ステップ

営業戦略を踏まえてリストを作るメリット

営業戦略を先に決めてからリストを作ると、成果が見込める店舗へ営業工数を集中できます。商材に合わない店舗への無駄なアプローチが減り、店舗ごとに適した訴求も考えやすくなります。

また、対象条件と優先順位を明確にしておけば、成果が出なかった原因を店舗選定・接触方法・提案内容に分けて振り返れます。接触率や商談化率を比較しながら条件を見直せるため、再現性のある改善につながります。

当社の調査では、営業担当者が抱える課題として「優先度の高いリードを即座に見極められない」が26.8%にのぼりました(複数回答)。対象条件と優先順位を先に決めておけば、この迷いを減らし、成果の見込める店舗から順に当たれます。

※当社調べ。インサイドセールス業務従事者への調査(2026年1月)

飲食店向けの営業リストを作るときの課題

飲食店向けのリスト作成には、一般的な法人営業とは異なる難しさがあります。作成前に、次の3点を押さえておきましょう。

決裁者と接触できる時間が分かりにくい

個人店では店主、チェーン店では本部担当者など、意思決定者は店舗形態によって異なります。また、営業時間中は接客や仕込みで忙しく、電話やオンライン商談の時間を取りにくい店舗も少なくありません。店主や責任者がいる時間帯を見極め、接触方法まで設計する必要があります。

アプローチ先を絞り込みにくい

飲食店は、業態、客単価、席数、立地、店舗数などによって課題が大きく異なります。個人経営の居酒屋と全国展開するチェーン店では、予算や意思決定の流れ、ニーズも同じではありません。

「飲食店」という条件だけでは対象が広すぎます。自社商材が特に役立つ店舗の特徴を具体化し、成約可能性の高い店舗へ営業工数を集中させることが重要です。

店舗情報が古くなりやすい

飲食店は、開店、閉店、移転、業態変更が起こりやすい業種です。中小企業庁の2024年版「小規模企業白書」によると、宿泊業・飲食サービス業は、開業率・廃業率がともに全業種で最も高い水準にあります。

作成から時間がたつと、電話番号や営業時間、運営会社が変わっていることがあります。リストは一度作って終わりにせず、営業結果や公開情報をもとに更新しましょう。

参考記事:中小企業庁 2024年版「小規模企業白書」第2部第2章第2節 新たな担い手の創出

関連記事:アポの取り方とは|獲得を増やす5ステップとチャネル別のコツ・注意点

成果につながる営業リストの作り方5ステップ

ここからは、飲食店向けの営業リストを作る流れを5つのステップに分けて解説します。

1. 自社商材が役立つ店舗の条件を決める

最初に、自社商材を導入する可能性が高い店舗の条件を整理します。業態、エリア、客単価、席数、予約方法、集客施策、採用状況などが主な判断材料です。

たとえば予約管理サービスなら、席数が多く、電話予約を受けている店舗が候補になります。予約の受付や管理に負担を抱えている可能性が高いためです。

最初から条件を一つに決め切る必要はありません。複数の仮説を立て、営業結果を比較できるようにしましょう。

2. 公開情報から候補店舗を集める

ターゲット条件を決めたら、自治体の飲食店営業許可データ、公式サイト、Googleマップ、グルメメディア、SNS、法人番号公表サイトなどから候補を集めます。

情報源ごとに確認できる内容は異なります。営業許可データでは、許可取得時点の営業者名や所在地などを確認できます。ただし、現在の営業状況まで保証するものではないため、公式サイトやSNSなども併用して確認しましょう。グルメメディアでは業態や客単価、SNSでは販促活動の状況を確認できます。複数の情報源を組み合わせることで、抜けや誤りを減らせます。

Googleマップやグルメメディアの情報を利用する場合は、各サービスの利用規約を確認してください。自動取得や大量複製が禁止・制限されている場合があるため、規約に反するスクレイピング等は行わないようにしましょう。

参考記事:Google マップ エンドユーザー向けの追加利用規約|Google

3. 店舗と運営法人を分けて整理する

飲食店への営業では、店舗と運営法人を分けて管理することが重要です。複数店舗を運営する企業に店舗ごとに連絡すると、重複アプローチが発生する可能性があります。

店舗名、運営会社、店舗数、本部の連絡先、決裁できる範囲を整理し、店舗へ提案する案件と本部へ提案する案件を切り分けましょう。

4. 適合度と販促意欲で優先順位をつける

候補店舗を集めたら、商材との適合度と、新しい施策への投資意欲で優先順位をつけます。

販促意欲は、SNSの継続更新、口コミへの返信、予約サイトの活用、求人掲載、新規出店や改装などから推測できます。こうした動きは、集客や事業拡大に前向きな店舗を見つける手がかりになります。

5. 営業結果を記録して条件を見直す

営業を始めたら、接触できたか、担当者と話せたか、商談につながったかをセグメント別に記録します。

反応がよい店舗の共通点が見つかれば、その条件を次回のリストへ反映します。反応が悪い場合は、トークだけでなく、対象業態、店舗規模、接触時間、提案先が適切だったかも確認しましょう。

営業リストは完成品ではありません。仮説検証を繰り返し、営業活動で得た情報を反映しながら精度を高めるものです。

飲食店の営業リストに入れたい項目

リストの項目は、基本情報、ターゲット判定、アプローチ管理の3つに分けると整理しやすくなります。項目を役割ごとに整理しておくと、狙う店舗を絞り込みやすくなり、担当者が変わっても同じ基準で優先順位をつけられます。各グループの項目と役割は下記の表のとおりです。

グループ 管理項目 グループの概要 入れるべき理由
基本情報 店舗名、運営法人、所在地、電話番号、業態、席数、客単価 店舗を特定する基本データ アプローチ先の特定と名寄せに使うため
ターゲット判定 予約方法、決済手段、SNS・口コミ運用、求人、出店・改装状況 商材適合と販促意欲を測る情報 当てる優先順位を決めるため
アプローチ管理 想定決裁者、接触しやすい時間、最終接触日、接触結果、次回アクション 接触の設計と進捗の記録 再接触や抜け漏れを防ぐため

項目を増やしすぎると、入力と更新の負担が大きくなります。まずは営業先の選定と次のアクションに必要な情報へ絞り、運用しながら追加しましょう。

関連記事:営業リスト管理とは?属人化と取りこぼしを防ぐ項目・方法・ツールを徹底解説

成果につなげるには接触方法も設計する

精度の高いリストを作っても、店舗が忙しい時間に電話をかけ続けるだけでは成果につながりません。飲食店営業では、誰に、いつ、どの手段で接触するかまで設計する必要があります。

特に接点をつくりやすいのは、ランチとディナーの間のアイドルタイムです。休憩や仕込みの時間もあるため、短時間で要件を伝えましょう。訪問で得た一次情報をリストへ戻せば、次回以降のアプローチ精度も高まります。

当社が提供する「セールスアイドル」は、飲食店のアイドルタイムに営業経験者を配置し、店舗訪問を行う営業支援サービスです。リストに基づく訪問だけでなく、現場で得た情報を蓄積し、対象条件や提案内容の改善につなげます。

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飲食店の営業リストは検証しながら改善する

飲食店の営業リストは、店舗名と連絡先を集めるだけでは機能しません。自社商材が役立つ店舗の条件を決め、公開情報から候補を集め、優先順位をつけることが基本です。

さらに、営業結果や訪問で得た一次情報を反映し、対象条件を見直すことで精度が高まります。リスト作成とアプローチを分けず、検証と改善を一連の営業活動として運用しましょう。

飲食店の営業リストに関するよくある質問

購入と自作のどちらがよいですか

短期間で件数を確保したい場合は購入、自社商材に合う店舗を細かく選びたい場合は自作が向いています。ただし、購入したリストもそのまま使わず、店舗の営業状況や商材との適合度を確認してください。

何件あればよいですか

必要件数は、目標商談数を接触率と商談化率で割り戻して決めます。最初は一つのセグメントで小さく試し、実測値をもとに算出するとよいでしょう。

個人経営の飲食店も対象にできますか

個人事業主の氏名や個人の電話番号などは、公開情報であっても個人情報に該当する場合があります。取得元の利用規約を確認するとともに、利用目的の特定・公表、適切な管理、営業停止の申し出への対応などを社内で定めましょう。

参考記事:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)|個人情報保護委員会

電話営業は何時ごろがよいですか

店舗によって異なりますが、ランチとディナーの営業時間を避けるのが基本です。営業時間や仕込み時間を確認し、相手の負担が少ない時間帯を仮説として設定したうえで、接触結果を記録して調整しましょう。