初心者向けインサイドセールスの立ち上げガイド|立ち上げ方を5ステップで解説

インサイドセールスを立ち上げることによって、これまで接点を持つことができていなかった業界や企業との商談を行うことができるようになります。インサイドセールスは、電話やメール、Web会議を使い、見込み顧客との初回接点から商談化までを社内で担う役割です。

これから立ち上げる営業責任者にとって、最初の設計を誤ると成果が出ないまま費用だけがかさみます。

本記事では、当社が支援してきた立ち上げの知見をもとに進め方を解説します。

インサイドセールスを立ち上げる目的

インサイドセールスを立ち上げる目的は、商談機会を安定して生み出す仕組みをつくることです。インサイドセールスは見込み顧客との接点づくりから商談化までが主な役割であり、一方でフィールドセールスは商談から受注までが主な役割となっています。分業によってフィールドセールスは商談に集中でき、営業全体の生産性が高まります。

当社の調査では、インサイドセールス業務の担当者のうち、11名以上の体制で運用していると答えた人が過半数でした。対応しているリードは「資料請求・問い合わせをしてきたリード」が42.7%で最多です。次いで「メールアドレスを取得してナーチャリング中のリード」が40.2%でした(複数回答)。

反響対応を軸に、一定規模の体制で運用している実態がうかがえます。

※当社調べ。インサイドセールス業務に携わる会社員1,027名へのインターネット調査(2026年1月)

インサイドセールスを立ち上げるタイミング

インサイドセールスを立ち上げるタイミングは、リードは獲得できているのに商談化まで手が回っていないときです。フィールドセールスが初回対応に追われ、本来の商談に集中できていない状態にある時に分業体制を取ると、営業組織全体としてリードに対して漏れなく対応できるようになります。一方、リード自体が不足している段階では立ち上げても投資が空回りしやすいため、まずマーケティング施策を行いリード獲得を優先するとよいでしょう。

インサイドセールス立ち上げの5ステップ|初心者向けの進め方

インサイドセールスの立ち上げは、目的設計からマネジメントの仕組み化まで、5つのステップで進めると迷いなく形になります。

インサイドセールスの立ち上げで重要なのは、戦略に基づいた設計です。

ステップ①目的・KGI/KPIの設計

最初に決めるのは、インサイドセールスを何のために置くのかという目的です。商談機会の供給、ナーチャリング、休眠顧客の掘り起こしのどれを主軸にするかで、追う指標が変わります。

指標は、KGIを商談実施数、先行KPIをコール数からコンタクト数への歩留まりに置く設計が代表的です。目的が曖昧なまま人員を増やすと、活動量だけが積み上がり、成果につながりません。

ステップ②ターゲット設計とリスト・仮説構築

インサイドセールスを立ち上げる際に重要なことは、どのような企業に対してアプローチするかです。3C分析で市場と顧客、競合、自社を整理し、ターゲットとする企業を定義します。そのうえで、自社の強みとかみ合う仮説を複数立て、リストを精査すれば、アプローチする相手へリソースを集中させられます。アプローチする先の企業を絞ることで、架電前の仮説立てやトーク内容をテンプレート化しやすくなり、結果的にアポの獲得がしやすくなります。

ステップ③トークスクリプトと営業の「型」づくり

トークスクリプトは、棒読みするための台本ではなく、相手に応じて調整する前提の話す内容として整えることが基本です。当社は、営業の印象は最初の5分で大きく決まると考えています。話の内容以上に、声のトーンや表情といった非言語情報が最も重要なため、アプローチからヒアリングまでの型づくりを重視しています。

リード獲得後のスピードも、型に組み込むべき要素です。当社でインサイドセールス業務に携わる担当者にリード獲得から初回接点までの時間を調査したところ、「数時間以内」が41.5%、「当日中」が25.7%でした。合わせて約7割が、当日中に対応しています。

米ハーバード・ビジネス・レビュー誌の調査(2011年)では、問い合わせへの連絡の速さが成果を左右する結果が出ています。1時間以内に連絡した企業は、1時間後に連絡した企業と比べて、キーマンとの有意義な会話につながった割合が約7倍でした。リード獲得後の対応スピードを、担当者の裁量ではなく型として仕組みに落とし込むことが大切です。

※当社調べ。インサイドセールス業務に携わる会社員1,027名へのインターネット調査(2026年1月)

関連記事:アポの取り方とは|獲得を増やす5ステップとチャネル別のコツ・注意点

参考記事:The Short Life of Online Sales Leads|Harvard Business Review

ステップ④ツール選定とSFA/CRM連携

ツールは、SFAやCRM、MA、電話や音声解析を最小構成から導入します。当社は、営業の可視化・蓄積・分析を段階的に進めるサービス「Sales MX」を提供しています。ツール選定も同じ順序で、まず活動の可視化から着手します。土台となるデータの収集と蓄積を固めることが、その後の分析と定着の近道です。

ステップ⑤マネジメント体制とPDCAの仕組み化

営業マネージャーは、日次で仮説を検証する仕組みを設定して効率化と成果の向上を目指す必要があります。各プロセスの歩留まりに対する改善の仮説を立て、翌日の行動に落とし込む単位で振り返ります。大切なのは、テレアポ内容のレビューやフィードバックを重ね、担当者ごとの成果のばらつきを抑えることです。仕組みとして設計すれば、マネージャー個人の勘に頼らず、成果の再現性を高められます。

立ち上げ時に決めるインサイドセールスの組織体制

インサイドセールスの組織体制は、一気通貫型とTHE MODEL型の分業体制の2つに大きく分けられます。立ち上げ期は、リードの量と商材の複雑さから、どちらを選ぶかを最初に決めます。

それぞれの特徴は下記の表のとおりです。

体制 概要 向いている企業の特徴
一気通貫型 一人が反響対応から商談、受注までを担う リード量が少なく、人員が限られる立ち上げ初期の企業
THE MODEL型の分業体制 マーケ・IS・FSが役割を分担する リード量が増え、生産性を高めたい成長段階の企業

インサイドセールスは、マーケティング部門が獲得したリードとフィールドセールスの商談をつなぐポジションです。分業体制では、このポジションの品質が全体の生産性を左右します。

インサイドセールスの立ち上げ当初は一気通貫型で始め、リード数が増えて処理が追いつかなくなったらTHE MODEL型に切り替えていくとよいでしょう。

当社が支援したクラウド録画サービスのSaaS企業は、月次目標の達成率が111%を超える状態を継続しています。一人が全工程を担う一気通貫型から、THE MODEL型へ移行した事例です。当初はインバウンド対応が追いつかない課題を抱えていましたが、当社がインバウンドとアウトバウンドの両方に対応する組織の構築支援を行ったことで、役割を分担できる体制へ切り替えられました。

関連記事:「RevOps(レブオプス)」の基礎と、導入/定着のための具体策

インサイドセールス立ち上げのKPI設計

インサイドセールス立ち上げのKPIは、次の歩留まりの構造で設計します。

  • コール数
  • コンタクト数
  • 商談化数
  • 受注

KGIは商談実施数に置き、その手前の行動量と転換率を先行指標として管理します。フェーズが進むにつれて、評価の重心は行動量から商談化数や受注へと移っていきます。立ち上げ初期から受注数だけで評価するのは避けましょう。改善項目が多くなってしまい、どの指標から着手をするべきかがわからなくなってしまうからです。

当社の調査では、担当者が課題に感じていることの最多は「複数リードへの同時対応が難しい」で31.8%でした。次いで「リード数が増えると対応しきれない」が28.7%、「優先度の高いリードを即座に見極められない」が26.8%と続きます(複数回答)。

リードが増える局面ほど、歩留まりを見て優先順位を判断するKPI運用が欠かせません。

※当社調べ。インサイドセールス業務に携わる会社員1,027名へのインターネット調査(2026年1月)

関連記事:インサイドセールスのKPIとは?種類・設定方法・計算式と改善のポイント

インサイドセールス立ち上げでよくある失敗と課題・対策

インサイドセールスの立ち上げでよくある失敗は、事前の設計不足から生まれます。運用しながら整えれば問題ないと考えている項目が多すぎると、目的も指標も曖昧なまま活動量だけが増えていきます。

立ち上げでつまずく失敗パターン

戦略や仮説がないままリストの上から架電することにより、断られても学びが残らない状態になってしまいます。立ち上げでつまずくパターンは、次の4つに整理できます。

  • 戦略や仮説のない属人的な運用
  • トークスクリプトの棒読み
  • 初期対応の遅れによる取りこぼし
  • KGIやKPIの未設計

当社で、人が中心の体制を今後も続けた場合の不安を調査したところ、最も多いのは「夜間・休日対応ができず取りこぼしが続く」で32.2%でした。「初期対応の遅れによる機会損失が増える」が28.5%、「担当者による成果・品質のばらつきが解消されない」が27.6%と挙がりました(複数回答)。

労働集約型の運用が抱える限界が、立ち上げ時から意識されています。

※当社調べ。インサイドセールス業務に携わる会社員1,027名へのインターネット調査(2026年1月)

一人での立ち上げは可能か|スモールスタートの進め方

一人でのインサイドセールス立ち上げは可能ですが、対応できるリード量には物理的な限界があります。一人が同時に複数のリードへ即応することはできず、量が増えた瞬間に取りこぼしが増えます。

まずは対応するリードの範囲を絞り、反響対応から着手するスモールスタートが現実的です。成果の出る型ができた段階で、人員とツールを段階的に増やせば、無理なく規模を広げられます。

中小企業がインサイドセールスを立ち上げる際の注意点

中小企業のインサイドセールス立ち上げでは、限られたリソースをどこに集中するかの優先順位づけが成否を分けます。人員も予算も限られているケースが多く、すべての工程を社内で抱えるとインサイドセールスの立ち上げは失敗してしまうこともあります。

まずは目的に直結する工程に絞って着手する必要があります。戦略設計やリスト整備など、自社で不足する工程だけを外部リソースで補う判断も、初速を上げる有効な手段になります。

インサイドセールスを立ち上げるために必要なこと

インサイドセールスの立ち上げには、ツール、予算、人材の3つの準備が欠かせません。この3つは互いに影響し合うため、どれか1つが欠けても立ち上げの初速が鈍ります。それぞれをどう設計するかを解説します。

立ち上げに必要なツールの選定と連携

立ち上げ時に必要な主なツールと役割は次のとおりです。

ツール 役割
SFA・CRM 案件の進捗と顧客情報を管理する
MA リードの獲得とナーチャリングを支える
電話・音声解析 架電の記録とトーク改善に活用する

多機能なツールを一度に導入するより、記録が自然に残る最小構成から始めることが定着につながります。SFAへの入力を業務プロセスに組み込む場合、管理項目が増えるほど誰も入力と確認をしない形骸化が起こります。

当社の調査では、活用状況をモニタリングできている企業ほど成果が出ている傾向がみられました。営業AIツール導入企業1,025名の調査では、「とても成果が出ている」企業の71.6%が活用状況を「よくできている」と回答しました。

モニタリングの仕組みを立ち上げ時から組み込むことが、定着と成果を分けます。

※当社調べ。営業AIツールを導入している企業の営業マネジメント層・経営者層・DX推進責任者1,025名へのインターネット調査(2026年1月)

関連記事:インサイドセールスの業務効率を最大化するAI音声解析

立ち上げ予算・費用の考え方

立ち上げの費用は、内製とアウトソーシングで構造が大きく異なります。内製は採用や教育の固定費が先行し、アウトソーシングは稼働に応じた変動費で始められます。

ROI(%)=(売上貢献額 − コスト)÷ コスト × 100

商材や体制によりますが、立ち上げ初期は変動費でスモールに検証し、型が固まってから内製へ寄せる進め方も選択肢です。当社は、戦略から実行までを担い、営業組織を変動費として使える形で提供しています。

関連記事:インサイドセールスの費用対効果とは?測り方・コスト相場・高める方法を解説

インサイドセールス人材の採用要件・育成の設計

人材は、採用要件の定義と育成設計の順で準備します。求める人物像を言語化することで、未経験者でも早期にインサイドセールスを立ち上げることができます。

インサイドセールスを立ち上げる際に必要な採用要件は下記です。

  • 電話やメールで信頼をつくる対話力
  • 仮説を立てて検証する思考力
  • 記録や入力を正確に続ける丁寧さ
  • 断られても前向きに続ける粘り強さ

インサイドセールスの立ち上げには、ノウハウと戦略の設計が欠かせません。だからこそ、立ち上げの一部を外部に委託する選択肢もあります。

インサイドセールスの立ち上げを成功に導くために

インサイドセールスの立ち上げで最初に決めておくべき項目は次のとおりです。

  • なぜインサイドセールスを置くのか、一文で言えるか
  • 成果を測るKGIと先行指標を決めたか
  • 誰に何のためにアプローチするのか仮説はあるか
  • トークを個人任せにせず型として共有したか
  • ツールに記録が自然に残る設計になっているか
  • 日次で歩留まりを振り返る場があるか
  • 自社で不足する工程を外部で補えないか

インサイドセールスの立ち上げで大切なのは、成果を個人の力量に委ねず、型として組織に定着させることです。誰に何のためにアプローチするのかという戦略を起点に置くことが、再現性のある成果を生みます。

当社は600社・2,000件を超える支援のなかで、戦略設計から現場での実装までをハンズオン型で伴走してきました。全ての企業に強い営業組織をという考えのもと、立ち上げの初期設計から運用の定着までを一貫してサポートします。自社に最適な立ち上げの進め方を、まず現状の整理から一緒に考えるところから始められます。

インサイドセールスの立ち上げでよくある質問

インサイドセールスの立ち上げにはどのくらいの期間がかかりますか?

一律の期間は示せません。体制規模や商材、既存のリード量によって、必要な準備期間は変わるためです。当社が支援した事例では、発注から1ヶ月ほどで組織を構築したケースもあります。

SDRとBDRはどちらから始めるべきですか?

多くの場合、まずは反響対応を担うSDRから始めるのが現実的です。獲得済みのリードを商談化する動きは成果が見えやすく、型化も進めやすいためです。新規開拓のBDRは、SDRで基盤を固めてから広げると無理がありません。

立ち上げにかかる費用の目安は?

一律の相場は出せません。商材や体制によって、内製の固定費とアウトソーシングの変動費のどちらが適するかが変わるためです。立ち上げ初期は変動費でスモールに検証し、型が固まってから内製化を検討する方法もあります。

立ち上げはインハウスとアウトソーシングのどちらが良いですか?

どちらが良いかは、自社のリソースと立ち上げの緊急度によって決まります。ノウハウと人員が社内にあればインハウス、初速を重視するなら不足工程をアウトソーシングで補う判断が向いています。丸投げにせず、自社にノウハウが残る形で活用することが定着の条件です。

立ち上げ時に最初に導入すべきツールは何ですか?

案件と顧客を管理するSFAやCRMから始めるのが基本です。最初から多機能をそろえる必要はなく、記録が自然に残る構成を優先します。運用が固まってきた段階で、MAや音声解析を目的に応じて足していく判断が向いています。