営業のAI活用事例は、大がかりなシステム開発ではなく、情報収集・商談・事務・マネジメントといった日常業務の中にあります。
本記事では、営業のAI活用事例を業務別・職種別に整理し、AIでできることと成果につなげる進め方までを紹介します。
生成AIや音声解析AIはあくまで道具であり、営業担当者の対話と判断を支える存在です。自社のどの業務にAIを効かせ、どのように定着させるかを解説しています。
営業におけるAIでできることと、人が担う業務の違い
営業業務にAIを取り入れた例としては、情報収集・商談・事務などに生成AIや音声解析AIを活用し、業務の効率化などを図ることが挙げられます。属人化の限界と生成AIの実用化が重なり、営業でのAI活用は一気に広がりました。
役割の違いは、AIが作業を担い、人が対話と判断のコアを担う点にあります。AIは人の置き換えではなく、営業組織を強くするためのサポートとして活用することがおすすめです。AIに任せる業務と人が担う業務の違いは下記の表のとおりです。
| AIに任せる業務 | 人が担う業務 |
|---|---|
| 企業・キーマンの情報収集とリスト化 | 顧客との関係構築 |
| 商談の議事録作成・要約 | 顧客課題の見極め |
| メール・提案書ドラフトの作成 | 提案の最終判断 |
| 活動データの可視化・モニタリング | クレームなどの例外対応 |
当社が実施した調査では、営業でAIツールを導入した企業様の約9割が成果を実感していました。一方で「とても成果が出ている」という回答は26.4%と、3割未満にとどまります。つまり、ツールの導入はできているものの、適切に活用できていない企業様が多いということです。
※当社調べ。営業でAIツールを導入している企業の営業マネジメント層・経営者層・DX推進責任者1,025名へのインターネット調査(2026年1月)
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【業務別】営業でAIにできること|情報収集・商談・事務・マネジメント
営業でAIにできることは、情報収集・商談・事務・マネジメントの4つの業務で整理できます。いずれも、当社のサポート現場で実践している活用です。
情報収集・顧客分析でAIにできること
情報収集・顧客分析では、生成AIによるリサーチとリスト化が活用の中心になります。生成AIに企業名や業界名などを渡すことで、決算情報やプレスリリースの収集・要約を短時間で行い、仮説立てまでのステップを効率的に行うことが可能です。
当社のABM支援サービス「おまかせABM」では、こうした生成AIと専用ツールを使うリサーチの手順を、サービスの型として標準化しています。「おまかせABM」は生成AIと専用ツールでキーマンリサーチを効率化し、1社あたり2名から4名のキーマンをリスト化し、戦略から実行まで一気通貫で支援することで、営業が商談や顧客対話に集中できる環境をつくります。
商談・トークでAIにできること
商談・トークでは、音声解析AIによる可視化が活用の起点になります。録音を解析することで、話す速度や質問量といったトークの内容を数値化できます。議事録の自動作成と要約も、商談後の定番のAI活用です。
また、AIが顧客役を務めるロールプレイングや、商談中に確認漏れを知らせるトークアシストは、ヒアリング精度の向上につながります。
当社の「Sales MX」では、音声解析AIで営業活動を可視化し、コンサルタントが事実に基づいて改善施策の立案やルールの設定を行います。過去の支援先が試験導入した際には、事前準備の実施率が40ポイント向上しました。新人の立ち上がり期間も、同じ支援先で50%短縮しています(試験導入時の参考値)。
関連記事:営業議事録がチームを強くする。企業資産になるAI時代の商談データ活用
関連記事:インサイドセールスの業務効率を最大化するAI音声解析
事務作業でAIにできること
事務作業では、生成AIによるメールや提案書のドラフト作成、お礼メールの自動作成が代表例です。
CRMやSFAへの入力自動化も効果が大きく、AIは商談の会話から、予算・決裁者・ニーズ・導入時期といった情報を抽出して記録します。事務作業が減ることで顧客に向き合う時間が増え、商談数の増加につながります。
マネジメントでAIにできること
マネジメントでは、音声解析AIやSFAのデータで商談の質と行動量を可視化し、主観に頼らない育成に転換できます。活用状況のモニタリングから、営業担当者がつまずいているプロセスの特定まで、判断材料をAIが収集する仕組みを構築することも可能です。
当社のサポートでは、過去の支援先の試験導入時に、マネージャーの育成工数を60%削減しました(参考値)。AIの分析結果をもとに、商談レビューとフィードバックを仕組み化した取り組みです。
当社の調査では、活用状況のモニタリングができている企業ほど成果が出ています。実際に「とても成果が出ている」と答えた企業様の71.6%が、営業担当者の活用状況をよく把握できていました。
※当社調べ。営業でAIツールを導入している企業の営業マネジメント層・経営者層・DX推進責任者1,025名へのインターネット調査(2026年1月)
【職種別】営業でAIにできること|法人営業・インサイドセールス・店舗接客
同じAIでも、職種によって任せやすい業務は変わります。法人営業・インサイドセールス・店舗接客の3つの職種で、AIにできることを整理します。
法人営業でAIにできること
法人営業では、商談準備の自動化が最も効果が出やすい領域です。
生成AIに企業の公開情報を読み込ませれば、事業課題の要約やSWOT分析の整理、提案書の骨子作成まで短時間で行えます。仮説を立てた上でのヒアリングがしやすくなり、初回商談の質の向上につながります。
高単価で提案が複雑な商材ほど、人が担う比重は高くなります。当社の法人営業サポートでは、AIが準備と分析を担い、コンサルタントが提案の組み立てまで伴走する分業を型にしています。
関連記事:営業組織でAIエージェントはどう使う?一歩先を行くAI活用
インサイドセールスでAIにできること
インサイドセールスでは、AIによるリード創出と初回対応の即時化が成果に直結します。匿名のWeb訪問者から検討初期の企業を発見し、夜間や休日の問い合わせにも取りこぼしなく一次対応できます。
初回のアプローチから商談の自動設定までをAIがつなぎ、人は判断と関係構築を担う分業が新しい標準です。
当社の調査では、インサイドセールスの担当者が限界を感じる業務は「営業時間外の対応」が36.2%で最多でした(複数回答)。また、匿名のWeb訪問者については約8割が機会損失を実感しています。人だけでは対応しきれない時間帯と接点こそ、AIに任せる価値が大きい領域です。
※当社調べ。インサイドセールス業務に携わる会社員1,027名へのインターネット調査(2026年1月)
店舗販売・接客でAIにできること
店舗販売・接客では、接客の録音をAIで解析することで、成果を出す販売員と新人のトークの差を具体的に把握できます。
AIレビューで改善点を提示すれば、店長の経験だけに頼らず新人を育成できます。当社も来店型店舗のDXサポートで、接客品質の可視化に取り組んできました。
来店型店舗を対象にした当社の調査では、接客品質のばらつき要因は「経験年数による差」が最多の46.6%でした(複数回答)。一方、接客にAIを導入した店舗の担当者では、約7割が効果に満足しています。経験の差をAIで補うことが、店舗全体の販売力の底上げにつながります。
※当社調べ。来店型店舗の営業・販売業務に従事する1,008名へのインターネット調査(2026年2月)
営業のAI活用を成果につなげる進め方
AIでできることを自社の成果に変えるには、進め方の設計が必要です。当社がサポートの現場で実践している4つのステップを解説します。
現状の課題と業務プロセスを洗い出す
最初のステップでは、現状の課題と業務プロセスを洗い出す必要があります。闇雲に導入すると、使われない機能への投資だけが残るためです。
顧客・競合・自社の3C分析と営業組織の客観的な診断で、ボトルネックを特定するのが効果的です。どの業務にAIを効かせるかを先に決めることが、投資対効果の最大化につながります。
効果が出やすい領域から段階的に始める
着手の順番は、効果が出やすい領域から段階的に始めることが原則です。いきなり全業務の自動化を狙うと、定着が進みません。まず録音・録画による営業活動の可視化から着手し、データの蓄積、分析、型化と段階を踏んで適用範囲を広げていきます。
当社の調査からも、成果が出ている企業ほど営業現場がAI活用を主導している傾向が明らかです。推進部門任せにせず、営業現場を起点に小さく始めることが成果につながります。
※当社調べ。営業でAIツールを導入している企業の営業マネジメント層・経営者層・DX推進責任者1,025名へのインターネット調査(2026年1月)
人とAIの分業を設計する
続いて、人とAIの分業を営業プロセスに沿って設計する必要があります。営業の原理原則は、事前準備、アプローチ、ヒアリング、提案、クロージングの5プロセスです。
当社の分業設計では、事前準備と記録、要約をAIに任せます。一方、最初の5分のアプローチとヒアリング、クロージングは人の役割です。分業を明文化することで、AI活用が個人任せにならず、組織の型として定着します。
AIを「導入」で終わらせず現場に「装着」させ定着させる
当社が目指すのは、導入をゴールにせず、AIが業務プロセスに組み込まれて現場が使い続ける「装着」の状態です。マネージャーが改善施策を運用しながら、成果と再現性が生まれて初めて装着といえます。
装着までの道筋は、下記の標準5段階です。
- 可視化
- 基盤整備
- 収益プロセス設計
- 営業力強化
- 自動化拡張
当社の調査では、「やや成果」「あまり成果」と回答した担当者が最も多く挙げた不足は、「AIツール活用に関する方針や優先度の明確な設定」の38.6%でした(複数回答)。別設問では「教育・研修が不十分だった」が32.5%で最多です(複数回答)。装着の設計を欠くことが、伸び悩みに直結しています。
※当社調べ。営業でAIツールを導入している企業の営業マネジメント層・経営者層・DX推進責任者1,025名へのインターネット調査(2026年1月)
関連記事:営業組織におけるAI活用最前線。「組織的に」AIを実装する先進企業
営業のAI活用は、事例の模倣ではなく自社への定着で決まる
AIでできることは、どの企業でも大きくは変わりません。成果を分けるのは、自社の課題に合わせて定着させられるかどうかです。ツール導入の目的化と短期成果への期待という失敗を避け、営業現場が主導して人とAIの分業を設計し、装着まで到達させることが必要です。
当社は、音声解析AIを活用した営業BPaaS「Miimos」を提供しています。商談・架電の可視化から、データに基づくフィードバック・育成の仕組みづくりまでを一気通貫でサポートするサービスです。支援実績600社以上・2,000件超の当社が、「営業組織は、作る時代から使う時代へ」を合言葉に、AI活用の装着まで伴走します。
営業のAI活用事例についてよくある質問
営業でAIは具体的に何ができますか?
情報収集、商談、事務、マネジメントの4つの業務が主な活用先です。リサーチとリスト化、音声解析による商談の可視化、メール作成の自動化が代表例です。マネジメントでは、活動の可視化とフィードバックの根拠づくりに役立ちます。
中小企業の営業でもAIは活用できますか?
中小企業でもAIは活用できます。規模が小さい企業様ほど、事務作業や情報収集といった1つの業務から始めやすいのが実情です。生成AIであれば大きな初期投資は不要で、効果を確かめながら広げられます。
法人営業でAIは何に使えますか?
AIは商談準備の自動化に最も効果を発揮します。生成AIで企業情報を読み込めば、課題の要約やSWOT整理、想定問答の練習まで可能です。キーマンのリサーチとリスト化に使うことで、新規開拓のスピードも高められます。
営業のAI活用で成果を出す共通点は何ですか?
営業現場が主導し、段階的に実装していることです。導入で終わらせず、現場に装着させて定着させる姿勢も共通しています。人とAIの分業を設計し、人は対話と判断に集中できる体制を整えています。
営業のAI活用で失敗しないためにはどうすればよいですか?
ツール導入を目的にしないことが第一です。導入前に課題と業務プロセスを洗い出し、効果が出やすい業務から小さく始めると、定着する前に取り組みが止まる失敗を防げます。









